アラン・カルデックとは、どんな人?
アラン・カルデックの書籍より、交霊の記録を紹介してきました。信じる・信じないは人それぞれだと思いますが、そもそもアラン・カルデックとは、どのような人物だったのでしょうか?
六カ国語を自由に操る教養人
アラン・カルデックは1804年10月3日、フランスのリヨンに生まれています。
代々、法律家を輩出してきた家系に生まれ、幼少時より自然科学や哲学に関心を寄せる利発な子どもだったようです。
十歳の時にスイスのペスタロッチ学院に入学し、化学、物理、数学、天文学、医学、語学、修辞学を学んでいます。その後、医学の博士号を取得し、六カ国語を自由に操るという、深い教養を備えています。
Wikiには、フランスの教育学者・哲学者としても紹介されていますから、決してオカルトだけに傾倒していた人物ではありません。
50才にしてスピチュアリズムに出会う
アラン・カルデックは、教育学者として高い評価を受け、参考書や教育書を次々に出版し、その印税だけでも暮らせるほどの人物だったのです。
そのような人生を歩む中で、アラン・カルデックは50才にしてスピチュアリズムに出会います。
アラン・カルデックにとっては、霊的な世界も新たな学問の追究であり、いわば人生の集大成として取り組んでいたのです。
科学で証明できないことは、似非科学として排除してしまう現代の知識人とは、学問に対する取り組み方の姿勢が違うのだと思います。
交霊会の方法について
交霊会で行われた霊言の記録を先に紹介しましたが、当時の交霊会がどのような行われたかについても、簡単に触れておきます。
- 典型的な交霊の手法としては、パリ霊実在主義教会に属するメンバーの家のサロンに、参加者たちが集まります。
- 部屋の真ん中にはアラン・カルデックと霊媒者(霊を降ろす人)が向き合って椅子に座ります。その横には、交霊を記録する速記者がいます。
- それ以外の参加者たちは、その周りで見守るようにして座っています。
- アラン・カルデックがお祈りをし、招霊を行います。霊媒者を通じて霊が降りて来ると、アラン・カルデックが代表して質問をし、それに対して霊が答えていきます。
- これは口頭で答える場合もあれば、筆記による回答の場合もあります。
興味深い点は、降りて来る霊を仲介している指導役の霊(聖霊や高級霊)も複数いることです。
本を読めば分かりますが、交霊している途中に時折登場して、招霊した霊が置かれている現状などを解説しています。
このような交霊会は当時、アメリカやヨーロッパの全域で頻繁に行われていました。一部のカルト的なブームではなく、世界的なムーブメントになっていたのです。
交霊会には、当時の著名人や学者も数多く参加しており、私たちにも馴染み深い人物としては、「シャーロック・ホームズ」の著者コナン・ドイルも参加しています。
参考:コナン・ドイルの心霊学
アラン・カルデックのスピリティズム
アラン・カルデックは、自身が行った霊存在の実証を「スピリティズム(Spiritisme)」と呼んでいます。日本では、霊実在主義、霊実在論などと呼ばれています。
以下に、アラン・カルデックのスピリティズムの主旨をご紹介します。
① 霊魂は不滅
死というのは、肉体が機能を停止するだけのことであり、その人の本質、つまり霊(魂)は、エネルギー体として霊界で永遠に生き続けている。
スピリティズムは、「人間は死んだら、どうなるんだろう?」という素朴な疑問に、迷うことなく答えています。
人間の肉体は滅んでも、霊魂は不滅なのです。霊魂が存在しないのならば、そもそも交霊は不可能であり、霊言を受け取ることもできませんね?
霊魂とは、肉体に宿った一種のエネルギー体です。物理学の「エネルギー不滅の法則」から考えてみても、霊魂が消えてなくなることはありません。死んだら焼かれて灰になるのは、肉体だけなのです。
② 転生輪廻
霊界で暮らしている霊は、ある一定の期間を経ると、肉体をまとって地上に転生してくる。
転生輪廻の目的は、魂の向上、すなわち、より高い認識力の獲得と、より大きな愛する力の獲得である。
スピリティズムでは、霊魂は生まれ変わると考えられており、転生輪廻(リーンカーネーション)を肯定しています。転生の例は、前頁の「物乞いに生まれ変わった貴族の転生」でも紹介しました。
スピリティズムはキリスト教の一派とも捉えられていますが、一般的なキリスト教では、転生輪廻の思想が欠けています(そもそも転生輪廻の概念がない)。
このためスピリティズムが、キリスト教における転生輪廻の思想を補完した形になっています。
転生輪廻の目的は、人間性(霊性)の向上です。一度の人生を、延々と生き続けるよりも、異なる時代、異なる環境に生まれ変わるほうが、霊魂の学びは多くなります。
これは日本で一生を過ごした人よりも、様々な国々を渡り歩いた人のほうが、見識が豊かになるのと同じですね。
③ 神の存在
魂は絶えず向上して神に近づいていく。神に近づくほど、悟りが高まり、魂は自由となり、より大きな幸福を享受できるようになる。
スピリティズムでは、神は存在し、その神に近づくほど、より大きな幸福を享受できるようになると教えています。
なぜ輪廻転生をするのかと言えば、もともと人間は向上心を持っており、もっと幸せになるためなのだと言えます。人生の苦難も、それを乗り越えた先には、幸福が待っているのです。
④ 霊人のメッセージ
霊界にいる霊人たちは、地上の人間にメッセージを送ってくることがある。
スピリティズムでは、定期的に交霊会を開いて、様々な霊人たちからメッセージを受け取っていました。
この交霊会で、霊人から受け取ったメッセージを理知的に検証しているのが、アラン・カルデックのスピリティズムの特徴です。
しかし、わざわざ交霊会を開かなくても、本当は私たちも霊人からのメッセージを日常的に受け取っているのです。
例えば、インスピレーションです。ふとした瞬間に、「良いアイデアが閃いた!」という経験などは誰にでもありますね?
本人は、霊人からメッセージを受け取ったという意識はないでしょうが、これも霊示の一種です。
霊界は、この世よりも高い次元に存在しているので、地上に生きている人間には分からないこと(例えば、少し先に起きる未来の出来事など)も認識できることがあります。
もし、あなたも霊界に行ったら、子どもや家族を危険から守ったり、助けになるメッセージを送りたくなるのではないでしょうか?
霊人と言っても、もともとは生きていた人間です。生前に縁の深かった地上の人間に、あの世から話し掛けたくなるのは当然ですね。
アラン・カルデックの霊との対話
現在の日本でも度々、心霊ブームが起きています。テレビ番組でも、イタコや霊能者が霊を降ろしているシーンを見たことがあると思います。
今回紹介したアラン・カルデックの霊との対話を始め、彼が中心となったスピリティズムの運動は、今から150年以上も前に起きた出来事ですが、今読んでも古さを感じさせません。
記事では、少しおどろおどろしい霊言を中心に紹介しましたが、実際の著作では天国的な世界にいる霊も数多く登場します。
霊的な世界を知るには、最適な書物になっています。信じる人も、信じない人も、ぜひ一読してみてほしいと思います。