映画『スノーデン』が公開されましたが、エドワード・スノーデンの名前は、一度は聞いたことがあると思います。
スノーデン氏は米政府の諜報活動を暴露し、情報漏洩罪などで現在も指名手配されています。でも、それはアメリカで起きた事件なので、自分には無関係だと思っているかもしれません。
そこで質問ですが、あなたは今日、第三者に読まれたくないメールを送信しましたか? 他人に聞かれたくない内容の電話を、誰かに掛けたでしょうか?
実は、あなたのスマホも監視されている可能性がありますよ、と聞いたら、少しは驚かれるでしょうか?
いえ、これは過去の事件の話ではなく、今も現在進行形の話です。映画『スノーデン』は他人事ではないのです。
映画『スノーデン』は、他人事ではない!
当ブログでも何度かスノーデン氏に触れていますが、今回は映画『スノーデン』を中心に書きたいと思います。
テーマはズバリ、「監視社会」です。スノーデン氏が、米政府に指名手配されている理由は、アメリカの監視社会を暴露してしまったからです。
スノーデン氏の行動は、映画のキャッチコピーにあるように、「英雄か? 犯罪者か?」と見解は別れるでしょう。なぜならば彼は、NSA(アメリカ国家安全保障局)の元職員だからです。悪質なハッカーではないのですね。
スノーデン氏は政府の職員でありながら、政府が個人情報を違法に収集している実態に疑問を感じ、メディアを通じて内部告発したことで、全世界を巻き込む大事件となりました。
映画『スノーデン』を見て分かること
スノーデン氏に関する情報は、日本では偏っている内容が多いのですが、映画『スノーデン』を見ると、次のことが分かります。
- なぜスノーデン氏は、米政府の内部告発をしたのか、彼の心の葛藤が分かりやすく描写されています。
- スノーデン氏の告発内容は、日本人も無関係ではないことが分かります。むしろ、日本は米政府に監視されていた当事国の一つです。
- 監視社会の実態が分かり、日本に住んでいるあなたも、恐ろしい監視社会に身を置いている現実を知ることになります。
「英雄か? 犯罪者か?」という判断は、あなたに任せますが、映画『スノーデン』は自分にも降りかかってくる問題として、観て頂ければと思います。
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映画『スノーデン』(監督:オリバー・ストーン、主演:ジョセフ・ゴードン=レビット)は、事実に基づいたスノーデン氏の実話を、映画化して話題になった作品です。
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話題になったスノーデンの映画は、他にも1本あります。
『シチズンフォー スノーデンの暴露』は、スノーデン事件の一部始終が描かれたドキュメンタリー映画になっています。
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エドワード・スノーデン氏とは?
エドワード・スノーデン氏(上写真)は、もともとはアメリカへの愛国心を強く持っている青年でした。現在、米政府に追われている身ですが、その愛国心ゆえに、後に耐えがたいほどの心の葛藤を生むことになったのです。
スノーデン氏は、NSA(およびCIA)の職員になる以前には、軍に入隊しており、イラク戦争への派遣を自ら志願もしています。
しかし、訓練中に両足を骨折してしまい、失意の中、除隊することになります。この経緯は、映画『スノーデン』の冒頭にも描かれています。
その後、NSAの職員に採用されたスノーデン氏は、2009年から約2年間、東京横田空軍基地のNSA関連施設で働いています。
本国に戻ってからは、メリーランド、ハワイと異動しますが、スノーデン氏は優秀な技術者であったため、政府の機密文書に常時接触できる立場にありました。
そして監視社会と化しているアメリカの実態を知ることになります。しかも、自分自身もその中枢にいて、仕事の一端を担っているわけです。
その心の葛藤に苦しんだ末、マスコミを通じて、内部告発の手段に訴えることになります。
ちなみにスノーデン氏は、日本のアニメや漫画、ゲームが大好きで、実際に日本で働いていた経緯もあり、かなりの親日派です。
その日本も今、監視社会に突き進んでいる現状を、現在の亡命先であるロシアで非常に憂いているそうです。
NSA(アメリカ国家安全保障局)とは?
そもそもスノーデン氏が働いていたNSA(アメリカ国家安全保障局)とは、何をしている組織なのでしょうか?
NSAは、米政府の情報機関の中枢です。情報機関のため、詳細は明らかにされていませんが、米国の通信システムを守ることと、テロやサイバー攻撃を察知し、防ぐことなどが任務です。
現在では、このような機関がないと、米国民の安全を守れません。
ところが、このNSAが大きな問題を犯していました。NSAは、テロとは無関係な自国民の個人情報まで、つぶさに収集していたのです。
これはアメリカでも当然、違法行為です。国民の生活を、政府が勝手に「覗き見」をしていたことが、スノーデン氏によって暴露されました。
NSAは世界中の携帯電話を監視している
映画『スノーデン』で、スノーデン氏が、過去の自分を回顧しているシーンがあります。
かつてスノーデン氏がしていた仕事内容と、その問題点が分かりやすく語られているので、少し長くなりますが、以下に引用します。
テロを監視する仕事に任命された時は、嬉しかった。毎朝出勤すると、無線の諜報を始めるように指示されました。
しかし、その多くは、テロ活動に関係のない米国人であったのが奇妙でした。でも、爆弾を防いで大勢の人々を救うためなのだと、自分に言い聞かせました。
仕事の内容は、こんな具合です。例えば、捜査対象に指定された人物が、ベイルートで働くイラン人の銀行家だとします。私たちは彼を監視するとともに、彼の通話相手も監視します。
それには、バファローに住む、彼のいとこの歯医者も含まれます。そうすると、その歯科医の接触相手まで、私たちは監視することになります。
最初の標的から、3人目になる頃には、対象人物とは全く無縁の、あるバーテンダーが母親とシワ取りの話をしている様子まで、傍受することになります。
通話相手が40人いて、3人先まで行くと、総勢250万人にもなるんです。
その規模の大きさに気付いて、愕然とする瞬間が来ます。NSAは世界中の携帯電話を監視しています。世界の誰もがNSAのデータベースの中にいて、日々、監視されている可能性があるのです。
これは、どう考えてもテロの防止とは関係がありません。テロは口実であり、NSAの真の目的は、自国民はもちろん、全ての人々の情報を収集し、世界の経済と社会を支配すること。
僕が守っていたのは、テロからの脅威ではなく、要するに米政府の覇権だったのです。
国民の生活を、政府が勝手に「覗き見」をしていたと前述しましたが、監視されていたのは、アメリカ国民だけではないのですね。
日本での諜報活動は制限されていない
スノーデン氏の告発により、2015年、米国内の通話記録の収集が停止になりました。
但し、だからと言って、私たちは安心できません。なぜならば、外国の情報収集は禁止されていないからです。米国による、日本での諜報活動を制限するものも、基本的にありません。
NSAによる世界規模の諜報活動を知り、諸外国はすぐに対策を行いました。そうした中で、日本政府は「遺憾です」の一言を放っただけで、何ら対応策を示しませんでした。
要するに、スノーデンが告発した問題は、今現在も、私たち日本人に直接関わっている問題なのです。
考えてみてください。たった一人から始まって、250万人にも膨れ上がってしまう網から、逃れる術があるでしょうか?
常時監視されていないだけで、あなたの携帯電話の番号もNSAのデータベースに入っていると考えたほうが、現実的ではないでしょうか?
次ページではこの問題を、「私たち自身の問題」として、さらに考えてみたいと思います。実は日本こそ今、監視社会に向けて、まっしぐらなのです。