ネス湖に巨大生物は棲めるのか?
ネッシーの棲息地とされるネス湖は、3~4億年前の地殻変動によって形成されたイギリス最大の淡水湖です。長さ35km、幅は約1.8kmの細長い湖であり、氷河によって削られて出来たと考えられています。
他の湖に比べて特筆される点は、ネス湖の平均水深は129mあり、最深部では230mもあることです。海であっても、水深200m以上の海域は深海と呼ばれていますから、これは湖としてはかなり深いです。
このネス湖の深さも、ネッシーのような巨大な未確認生物がいるかもしれない、という想像を掻き立てるものがあります。
深い湖でも、巨大生物が棲めるわけではない理由
実は、湖が深ければ巨大生物が棲めるというわけではないというのも事実です。
なぜならば、湖の深部には太陽光が届かないため、植物性プランクトンの光合成ができずに酸欠状態になっているからです。
特にネス湖は、水に泥炭を含んでいるために透明度が低く、肉眼では3m程度の深さまでしか見えません。植物性プランクトンが少ないため、表層よりも下は酸欠状態になっている可能性があります。
また、ネス湖は不凍湖なので凍りませんが、スコットランド北部の高緯度にあるので平均水温は5.5度であり、最高水温でも12~13度にしかなりません。
これはネッシーの餌となる他の魚にとっても過酷な環境でしょう。実際に、ネス湖に生息している魚類の量は少ないそうです。
このため、現在分かっているネス湖の生態系の調査では、ネッシーのような体長10m以上の巨大生物は棲めないという考えが主流になっています。
しかし、湖であっても他の条件が加わると、巨大生物も生息できる可能性は出てきます。
それは湖底が海と直接繋がっていたり、湖底から酸素を含んだ湧き水が噴出していたり、あるいは、酸素を湖底まで運ぶ対流が起きていたりする場合などです。
ネス湖に巨大なクレバスが発見される!
湖固有の環境によって、生態系は大きく変化します。2016年1月19日、イギリスの『The Telegraph』に興味深い記事が掲載されています。
それによると、ネス湖の湖底をソナー測定調査を行ったところ、約270mの深さに達する巨大なクレバス(深い割れ目)の存在が明らかになったそうです。
従来までは、ネス湖の最深部は230mとされていましたが、実際にはもっと深い場所が見つかったわけです。このクレバスがネス湖の生態系に、特別な影響を与えている可能性はないでしょうか?
魚が棲めないと考えられていた湖でも、実際に調査してみると、魚が豊富に棲んでいたという例はあります。
いくら過去にソナーや水中カメラを使って湖全体を調査したと言っても、今回のように巨大なクレバスが、新たに発見されることもあるわけです。
過去の調査データだけで、「ネッシーはいない」と決めつけるのは、どうかと思います。広いネス湖の全てを、調査し切れているわけではないのです。
何かしらの巨大生物が、ネス湖には存在する!
首長竜のようなネッシー像は、1930年代の捏造写真のイメージが、そのまま広まってしまった感があります。
実際にネス湖に棲んでいる巨大生物は、まだ確認されていないだけで、チョウザメやヨーロッパオオナマズなどの既知の生物かもしれません。
あるいは、その亜種や新種として、ネス湖で固有の生態系を持つ未確認生物になっている可能性もあります。
個人的には、圧倒的な目撃証言の多さからして、いわゆるネッシーの姿ではないにしても、ネス湖にはまだ確認されていない巨大生物がいる可能性があるのではないかと考えています。
今後のさらなる新発見に期待したいですね!