ネッシーの正体は首長竜なのか?
いよいよ、ネッシーの正体について考察してみます。
ネッシーと言えば、上の写真(ネッシー博物館の銅像)のように、恐竜の生き残りの姿を思い浮かべるのではないでしょうか?
ネッシーは体長10mを超える巨大な未確認生物と推測されていますから、今でも恐竜の生き残り説は有力でしょう。
とはいえ、ネッシーの正体を探っていくと、恐竜の生き残り説だけではなく、様々な説が唱えられています。
ネッシーの正体① 首長竜プレシオサウルスの生き残り
ネッシーの正体として、よく言われているのが首長竜プレシオサウルス(Plesiosaurus 中生代三畳紀後期~ジュラ紀前期)の生き残り説です。
UMAファンが一番のロマンを感じるのも、やはりプレシオサウルスなどの恐竜(水生爬虫類)の生き残り説ですね。
但し、プレシオサウルスの体長は2~5mであり、体長10mを超えると言われるネッシーよりも小型です。
プレシオサウルスの生き残りが大型化をしたとも考えられますが、それは時代を逆行している感が否めません。大型の恐竜や巨大サメのメガロドンなども、より小型で俊敏な種族に取って代わられているわけです。
ネス湖は決して魚が豊富とは言えない環境であるので、プレシオサウルスが大型化していく進化は考えにくいと思われます。
ネッシーの正体② 首長竜エラスモサウルスの生き残り
ネッシーの正体として、首長竜の生き残り説には、エラスモサウルス(Elasmosaurus)も有力です。中生代白亜紀後期(8,000万年前)の首長竜であり、アメリカ、ロシア、オセアニア、そして日本でも発掘されています。
発見場所からして、北方のやや冷涼な海を好んでいたとも考えられており、スコットランド北部のネス湖にも棲めそうです。餌さえあれば淡水湖でも生息可能でしょう。
プレシオサウルスの体長は2~5mでしたが、エラスモサウルスの体長は14mにも達します。
首の長さは8mもあり、プレシオサウルス類の首の骨が28~44個に対して、エラスモサウルスは72個もあります。体の約半分は首であり、まさに首長竜です。
かなり自在に首を動かせたようなので、濁った水質のネス湖では、動かずに身を隠し、首の動作だけで魚を補食できるのではないでしょうか?
ネッシーの正体③ 古代生物のトゥリモンストゥルム
怪獣ハンターのF・W・ホリディ氏や、元シカゴ大学・微生物学教授のロイ・マッカル博士は、ネッシーの正体を「トゥリモンストゥルム(Tullimonstrum)」であるとしています。
トゥリモンストゥルムは、3億700万年前の海に棲息していた古代生物で、「タリモンストラム」や「ターリーモンスター」とも呼ばれています。
姿を見ると、確かにネッシーの姿に似ていますね。しかし、トゥリモンストゥルムの全長は、約10cmしかないのです。
トゥリモンストゥルムは無脊椎動物と考えられていましたが、背骨が発見されたことで脊椎動物だったことが判明しています。
無脊椎動物ならば巨大化する可能性があるそうですが、実際には脊椎動物でした。巨大化してネッシーになった可能性は無さそうです。
そもそもネス湖は、約11,000年前(最終氷期)まで氷河に覆われていたと考えられています。
この説が正しいのならば、古代生物やプレシオサウルスなどの首長竜が、ネス湖に生き残っているという説は考えにくいことになるのですが、学説は覆されるのが常でもあります。
ネッシーの正体④ 北海からネス川を遡ったチョウザメ
チョウザメ(Acipenseridae)は、サメの名称になっていますが、実はサメではありません。3億年前から地球上に存在する「古代魚」の仲間であり、キャビアを生む魚として知られています。
オオチョウザメになると、体長6m近くにまで成長し、過去には体長8.6m、体重2,700kgにも達したという記録もあります。
チョウザメの仲間は海魚に分類されることもありますが、産卵のために川を遡上するので、ほとんどの研究者は川魚であると考えています。
ということは、ネス湖のような淡水湖でも生息できるということです。
実際にネス川の河口で、チョウザメが目撃された例もあるのです。北海からネス川を遡ってネス湖に入ったか、あるいは食料にする目的で、人為的にネス湖に放たれた可能性もあります。
アップル社の地図アプリにも、巨大魚のような姿が写されていましたね。
いわゆるネッシーのイメージには遠いですが、ネス湖の巨大生物の正体が、チョウザメの仲間である可能性はあるのではないでしょうか?
ネッシーの正体⑤ ネス湖周辺に生息するヨーロッパオオナマズ
他に可能性のある魚類としては、ネス湖周辺に生息するヨーロッパオオナマズ(Wels catfish)の説もあります。
成長すると体長4m、体重400kgを超える大型魚です。これは淡水魚としては、オオチョウザメに次ぐ2番目の大きさになります。
但し、ネス湖でのヨーロッパオオナマズの生存は確認されておらず、放流された記録もないそうです。
とはいえ、記録にはなくても誰かが放流した可能性はあるわけですし、鳥にヨーロッパオオナマズの卵がくっついて、ネス湖に運ばれた可能性もあります。
こちらもネッシーという感じではありませんが、ひょっとすると、ヨーロッパオオナマズの見間違えのケースもあるかもしれません。
ネッシーの正体⑥ 水浴びをしていたサーカス団の象
ネッシーの正体は、象の誤認という説もあります。意外な説ですが、ネッシーの目撃証言が相次いでいた当時、ネス湖でサーカス団の象に水浴びをさせていたことが分かっているそうです。
確かに、イラストのように象の鼻が、ネッシーの首のように見えないこともないですね。象の頭部と背中が水面から出ていれば、ネッシーの背中のコブのようにも見えます。
但し、ネッシーの目撃証言は、ネス湖にサーカス団の象がいた時期に限らず、現在でもあるわけです。
当時、象の誤認というケースもあったのかもしれませんが、これでネッシーの謎解きの全てが解決できるわけではありません。
ネッシーの正体⑦ ネス湖に迷い込んだ未知の生物
大昔には、ネス湖は北海の一部であり、その時にネス湖に棲みついた未知の生物が、独自の生態系を成しているという見解もあります。
ネッシーは、いわゆる首長竜のような姿ではなく、巨大なカタツムリのような見たこともない姿をしていたという目撃証言もあるのです。
但し、1994年のボーリング調査による地層の詳細探索では、ネス湖の氷河が溶け出した以降に、海水がネス湖に入り込んだ痕跡は皆無なのだそうです。
様々な説を検証してみても、やはり正体不明の未確認生物としか言いようがありません。
それでもネッシーの目撃証言は今現在、分かっているだけで1,081件もあるのです。これらの証言の全てが、捏造や見間違いというのも奇妙なことです。
ネス湖に何かしらの巨大生物が存在している可能性は、捨て切れないのではないでしょうか?
次ページでは、ネッシーの正体が何であれ、そもそもネス湖に巨大生物は棲めるのか?について、考察してみます。