江戸時代に漂着したUFO『うつろ舟の蛮女』の謎が、遂に明かされた?

『うつろ舟の蛮女』は江戸時代の都市伝説だった?

今まで不明であった地名が分かったことで、にわかに『うつろ舟の蛮女』が真実味を帯びてきました。しかし、それに真っ向から異論を唱えている研究家がいます。

あなたの知らない都市伝説の真実』の著者、皆神龍太郎氏によると、『うつろ舟の蛮女』の真実は、江戸時代の都市伝説と考えるべきだと指摘しています。

▲「幻解!超常ファイル 大江戸・日本人はUFOを見ていた!?」でも、皆神氏の見解が紹介されています。

江戸時代の宇宙人遭遇事件と思いきや、都市伝説に格下げされてしまいましたが、以下、その論点をまとめてみます。

① 100年も前に、うつろ船と似た話がある

うつろ船の話が収められている『兎園小説』は、1825年に刊行されています。

しかし、それよりも100年以上も前の1699年、尾張藩士・朝日文左衛門の日記『鸚鵡籠中記(おうむろうちゅうき)』にも、熱田の海に「空穂船」が漂着したという、非常によく似た話があるのです。

その文中には、『今日熱海へ空穂船着。生窓有びいどろにて張レ之。内に宮女あり』とあります。これは船体にガラス窓の付いた舟が漂着して、船内に女性がいたという、うつろ舟の話とぴったり重なりますね。

このため、『うつろ舟の蛮女』は、江戸時代に何度も現れては消えた都市伝説と考えるべきだ、と皆神氏は述べています。

② 蛮女の正体は、地元に伝わる金色姫

『うつろ舟の蛮女』の絵は、同種のものが少なくとも11種類は現存しているそうです。

その中で、茨城県で見つかった絵に描かれている女性は、髪型や衣装を詳しく調べてみると、地元に伝わる「金色姫」の女神像とそっくりなのだそうです。

金色姫と、うつろ舟の蛮女1

金色姫と、うつろ舟の蛮女2

金色姫は、養蚕に関する伝説に登場し、繭(まゆ)の形をした舟で海に流されたという伝説まで残されています。

この繭の形をした舟に、滝沢馬琴が話を付け加えて、うつろ舟の話を創作したとも考えられるわけです。

しかも、皆神氏によると、『兎園小説』の出版の後、滝沢馬琴が金色姫の錦絵の刷り物を作っていた、という繋がりも分かっているそうです。

③ うつろ船に描かれた文字は、宇宙文字ではない

実は、うつろ舟の話は、民俗学者の柳田國男(1857~1962年)も調べています。柳田國男の見解では、船内に描かれている文字が、この世のどの言語にも当てはまらないため、法螺話だと結論づけています。

虚舟に描かれていた宇宙文字

柳田國男が生きていた当時は、宇宙人の存在などは想定外ですから、法螺話という結論で決着が付きました。

しかし現在では、この世に存在しない文字だからこそ、宇宙文字である可能性が出ています。この世界に存在しない言語というだけで、法螺話と決め付けることは出来なくなったのです。

ところが、皆神氏は何か似た記号がないかと様々に調べてみた結果、宇宙文字ではないことを突き止めたそうです。

「長崎くんち」のお祭り

まず、そのうちの一つは、「長崎くんち」のお祭りでよく見られる記号にそっくりなのだそうです。

これは、アジアで広く交易を行っていた「オランダ東インド会社」のマークで、アルファベットの「O」「V」「C」を組み合わせたものです。確かに、4番目の文字が似ていますね。

長崎くんちのマークと宇宙文字
▲長崎くんちのマークと宇宙文字

「オランダ東インド会社」のマーク
▲オランダ東インド会社のマーク

長崎くんちの山車は、当時の御朱印船をモデルにしており、旗印にはオランダ東インド会社のマークを上下にひっくり返して使用していたそうです。

一説には、オランダ東インド会社の威光を借りて、朱印船を海賊の襲撃から防いだり、ハクを付ける目的で使用されていたと言われています。

「勢州桑名渡」の浮世絵

さらに、江戸時代の「勢州桑名渡」という浮世絵にも、うつろ船に描かれていた宇宙文字とそっくりの文字があるそうです。

絵の枠に文字が描かれている部分は蘭字枠と呼ばれて、舶来っぽさを出すための演出と言われています。当時の人々から見ると、浮世絵に西洋文字があるなんて、妙におしゃれな感じがしたのでしょう。

「勢州桑名渡」の浮世絵

浮世絵の中の宇宙文字

「宇宙文字」の1文字目と4文字目は、前述した「オランダ東インド会社」のマークに似ています。2文字目と3文字目は、元々は一つの文字だったという解釈をすれば、やはり似た文字が描かれています。

この飾り文字の上の段を見ると、右上から左に「HOLLAND」と書かれたような文字列が読めます。HOLLANDとは、オランダのことで、当時の日本人の憧れです。

西洋文字を真似ただけ

以上の考察から、皆神氏は次のように結論づけています。

うつろ舟の宇宙文字は、当時の人々の憧れの舶来品だったオランダ東インド会社の製品や、その包み紙に書かれていた西洋文字を真似て、それっぽく書いてみたものである。

「宇宙文字」などという解釈は、UFO騒動が起きた戦後に生まれた妄想に過ぎない。

あくまでも『西洋文字をそれっぽく真似た文字』ですから、実際には存在しない文字であっても構わないわけです。

本当に謎の全てが解決されたのか?

以上、皆神氏の3つの論点をご紹介しました。なるほど!と思わせる見解ですね。

とはいえ、これで全て解決!として良いのでしょうか?

『うつろ舟の蛮女』は江戸時代の都市伝説だった!ということで、終わりにしたほうが無難かもしれませんが、これだけではスッキリしない疑問点もあります。