「うつろ舟=江戸の都市伝説」への率直な疑問点
皆神龍太郎氏の著書『あなたの知らない都市伝説の真実』の副題は、「だまされるな! あのウワサの真相はこれだ!」となっています。
但し、世の中には、「だまされるな!」に「騙されるな!」ということもあるので、私なりに率直に疑問点を書いてみたいと思います。
似た話があると、全て都市伝説なのか?
うつろ舟の話が書かれた100年以上も前にも、それとよく似た話があるため、『うつろ舟の蛮女』は、江戸時代に何度も現れては消えた都市伝説と考えるべき、というのが皆神氏の見解です。
ご尤もだと思います。まずは、それを疑うべきでしょうし、話もかなり酷似しています。とはいえ、似た話があれば、すべて風評に過ぎないのかと言えば、そうとは言い切れません。
そもそも、UFOが海上に漂着した事件が幾度も起きるわけがない!という、先入観があるのではないでしょうか?
実は、ニュースで報道されないだけで、UFOは世界中にボコボコと墜落していると言われています。有名なロズウェル事件も、そのうちの一つに過ぎません。
事実であるかどうかは置いても、ここ数十年の間だけでも、数多くのUFO墜落事件が起きていますし、当ブログでも多数紹介しています。
このため、100年以上も昔に似た話があったからといって、都市伝説とは言い切れないのですね。むしろ、100年もUFOが出現していない期間があったら、そちらのほうが、おかしいくらいです。
昔はカメラやビデオで撮影される心配がありませんから、UFOや宇宙人も、今より警戒心なく出没していたのではないでしょうか?
日本各地の伝説に残されている天狗や仙人、河童、妖怪、昔話のかぐや姫も、本当は宇宙人だったかもしれないのです。
当時の人々の多くは、宇宙人の存在など理解できないでしょう。このため、妖怪などの姿となって、言い伝えられたケースも多いのではないしょうか?
今よりも交通が不便で、情報伝達の手段が乏しかった時代にも拘わらず、どの地方にも似たような伝説が残されている理由は、それだけ「宇宙人」が出没した頻度の多さを物語っているのだとも言えます。
このため、うつろ舟が都市伝説という可能性はあるものの、江戸時代に似たような宇宙人遭遇事件が幾度か起きていた可能性も、捨て切れないと思います。
金色姫の正体こそ、宇宙人かもしれない
うつろ舟の蛮女の正体は、地元に伝わる金色姫という可能性が指摘されています。金色姫を元ネタにして、都市伝説に作り上げられたのが、うつろ舟の蛮女ではないか?ということです。
でも、その逆も考えられないでしょうか? そもそもこの地帯はUFOスポットで、古くから頻繁に宇宙人が目撃されていた可能性はないか?ということです。
実際には、金色姫の正体こそ、宇宙人かもしれないのです。このような逆の発想も、アリではないでしょうか?
また、江戸時代に宇宙人の姿なんて想像できないでしょうから、絵を描くときに、既知の金色姫に似てしまった可能性もあります。
絵を描いた人は、目撃者当人ではないでしょうから、人の話を聞いて、何かを見本にして描くわけです。それが見慣れた金色姫に似てしまっても、仕方がないと思います。
さらに言えば、文献には残されていなくても、目撃者の誰かが「まるで金色姫のようだった」と証言した可能性だってありますね。
要するに、『うつろ舟の蛮女』が、金色姫の伝説や、その容姿と似ているからといって、必ずしも金色姫のパクリとは言えないということです。
似た文字ならば他にもある
うつろ舟に描かれた文字は、「長崎くんち」のお祭りと、「勢州桑名渡」の浮世絵に発見できるため、宇宙文字ではないと皆神氏は指摘しています。
よく見つけたものだと思うので、「さすが!」と賞賛したい気持ちではあります。
ただ、正確に言えば、似てはいても、どれも厳密に言えば同じではありませんね? 似ている△の文字も、底辺が閉じられていません。
二番目、三番目の文字になると、似たような文字が見られるということで、ちょっと歯切れが悪くなってきます。
これは西洋文字を、「それっぽく真似て書いてみたもの」⇒ 「だから全く一致していなくても構わない」という、都合のよい見解に仕立てている印象も受けます。
うつろ舟に描かれていた4文字が、この順番のまま、何かの文献や遺物に発見されたというのならば、ネタ元はここだったのか!と納得しますが、残念ながらそうではないのです。
文字の一部だけで良いのならば、日本の神代文字と言われるホツマツタヱにも、似たような雰囲気の文字は見られます。
宇宙文字とはいえ、何かの形として記されているので、その一部が地球上の文字や記号に似ることは十分に有り得ることです。
また、うつろ舟を発見したのは漁民であり、発見した後には海に戻してしまっています。その場で、本当に正確に文字を書き写すことができたのか?という疑問もあります。
うろ覚えのまま、後になって、「そう言えば、この文字に似ていたかも…」となって、西洋文字を参考にして書かれた可能性もあるわけです。
そう考えると、「長崎くんち」のマークも、「勢州桑名渡」の西洋文字も、宇宙文字ではないという、決定的な証拠とまでは言えないのではないでしょうか?
仮に都市伝説と考えてみても、UFOとしか思えないガラス窓の付いた鉄製の『うつろ舟』の絵が、UFOの存在など想像もできない江戸時代に、なぜ描かれたのかが最大の謎です。
人間は、自分でも想像できないことを描いたり、話を作ったりできません。また、誰も理解できない風評を流して、いったい誰がおもしろがってくれるのでしょうか?
「UFOの概念すらない江戸時代に、なぜUFOのようなものが描かれたのか?」という謎を解明できない限り、『うつろ舟の蛮女』は江戸の都市伝説だと、バッサリ切り捨てるのは早いのだと思います。
江戸時代の宇宙人遭遇事件であった可能性も、残しておきたい
いろいろと疑問点を書きましたが、『うつろ舟の蛮女』は江戸時代に何度も現れては消えた都市伝説だったという見解を、否定しているわけではありません。
皆神氏の都市伝説論を、完全に否定できる材料もないからです。
今から200年以上も前に起きた出来事なので、現在では検証が難しいとは思いますが、滝沢馬琴の新たな文献が発見されるなどすれば、謎が完全に解明されるかもしれませんね。
その日が来るまでは、うつろ舟が江戸時代のUFO・宇宙人遭遇事件であった可能性も、残しておきたいと思います。