クリスタルスカルほど、多くの人を魅了してきたオーパーツもありません。なにしろ、水晶で出来た精巧なドクロですから、インパクトが強烈です。
人気映画の「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」にも登場しましたが、オーパーツのクリスタルスカルがモデルになっています。
マヤ文明の伝説では、「クリスタルスカルは全部で13個あり、全てが揃った時に全世界の叡智の扉が開かれる」とも言われています。クリスタルスカルは、人類を救ってくれるかもしれないオーパーツなのです。
しかし、その一方で、クリスタルスカルは偽物であり、本物のオーパーツではないという話も聞かれます。
当記事では、クリスタルスカルの中でも、最も有名なヘッジス・スカルが発見された経緯と、その後に行われた近年の検証結果もご紹介します。
クリスタルスカルは、本当に正真正銘のオーパーツであったのか、ぜひ続きをお読みください!
クリスタルスカル(水晶ドクロ)の謎とは?
クリスタルスカルとは、一個の水晶から精巧に彫り上げられた人間の頭蓋骨の模型です。日本では水晶ドクロとも呼ばれています。
マヤ文明の伝説では、全部で13個のクリスタルスカルがあると言われています。まずは、よく知られているクリスタルスカルの伝説についてご紹介します。
13個のクリスタルスカルの伝説
伝説では、「クリスタルスカルには、人類の未来を予言する力が秘められている」と言われています。
予言を知るためには、世界に散らばっている「伝説の13個の水晶ドクロ」を、一堂に集めなければなりません。集めたドクロを時計の文字盤のように並べて、その中心には、マスタースカルを置きます。
オシリコンウィアの聖櫃(せいひつ)と呼ばれる特定の形に配置すると、各クリスタルスカルは各々の惑星の記憶を思い出し、全世界の叡智の扉が開かれます。
すると、空中にホログラムが投影されて、真の地球の歴史、すなわち超古代文明アトランティスの全貌も明らかにされることになります。
伝説の13個の水晶ドクロは、単なる古代の装飾品ではなく、今よりも高度に発達した超古代文明の人々が作ったコンピューターの一部なのです。
予言の成就は差し迫っており、2012年までに全てのクリスタルスカルを集めないと、人類の滅亡を救えないとも言われてきました。
2012年はもう過ぎました。ただ、これは滅亡の年の予言ではなく、それまでにクリスタルスカルを集めないと間に合わなくなる、という意味かもしれません。
近年の世界情勢の悪化を見ると、やはり、すでに人類は破滅に向かっているのでしょうか?
以上、オーパーツの本などにもよく書かれているクリスタルスカルの伝説を紹介しました。
「散らばった○○を一堂に集める」という話は、日本の古典では『南総里見八犬伝』、現代では『ドラゴンボール』にも見られますね。
伝説や物語の普遍的なパターンと言えます。クリスタルスカルの伝説は、これに加えて、一昔前に囁かれた「マヤの2012年人類滅亡説」が、後から付け足されたような感じになっています。
13個の水晶ドクロの中心に置かれる重要なマスタースカルは、ヘッジス・スカルだと言われています。
ヘッジス・スカルは、マヤ文明の古代遺跡から発見されたと言われているため、このような伝説がまことしやかに囁かれるようになったのではないでしょうか?
最も有名なヘッジス・スカル
クリスタルスカルの中で最も有名なのが、マスタースカルのヘッジス・スカル(写真はレプリカ)でしょう。
ヘッジス・スカルは、非常に透明度の高い水晶で作られており、高さ17センチ、横12.5センチ、長さ17.5センチ、重さは5キロもあります。
手のひらに収まるようなサイズではなく、思いのほか大きいですね。小顔の女性の頭蓋骨と、同程度の大きさはありそうです。
実際に、ヘッジス・スカルのモデルになっているのは、マヤ人と同じモンゴロイド系の女性と考えられています。
ヘッジス・スカルの特徴は、下あごが取り外せるように作られていることです。水晶を精緻に造形するだけでも大変なのに、なぜこのような複雑な細工まで施したのか不明です。
また、下から光を射すと、眼孔が独特のプリズム構造を持ち、人間の運命を見通せるのだとも言われています。
水晶は古来より、強い霊力を持つパワーストーンとして珍重されているために、このようなことも言われているのでしょう。
3600年以上も前のオーパーツ?
ヘッジス・スカルの制作年代は不明です。当初の話では、マヤ文明の古典期(西暦300~900年頃)に築かれたルバアントゥン遺跡から発見された、と言われています。
発見者の一人、ミッチェル・ヘッジスによると、遺跡よりも古い紀元前1600年頃、マヤ文明の高位の女性神官がクリスタルスカルを秘儀に使用していたとのことです。
これが本当ならば、ヘッジス・スカルは3600年以上も昔から、すでに存在していたことになります。
但し、現在知られているマヤ文明の歴史は、そこまで古くありません。アメリカ大陸で最初に生まれたとされるオルメカ文明でも、発祥したのは紀元前1200年頃です。
このため、ミッチェルが紀元前1600年頃のマヤ文明と言っている根拠は不明です。好意的に解釈するならば、マヤ以前の先住民の女性シャーマンが使用していたのかもしれません。
ヘッジス・スカルの発見場所については、謎を解き明かす最大の焦点になるため、これについては後ほど紹介します。
ヘッジス・スカルは、正真正銘のオーパーツか?
ヘッジス・スカルは、超古代文明の叡智を結集した正真正銘のオーパーツなのか、あるいは、よく言われるように宇宙人から技術を提供されて作られたものなのでしょうか?
さまざまな噂が囁かれている中、1970年代にアメリカのIT企業ヒューレット・パッカード社が、ヘッジス・スカルの解析を行いました。
その結果、表面には工具を使って加工した形跡が一切ないという、驚くべき事実が判明しました。
また、通常は水晶を加工する場合、結晶の軸(石目)に沿って細工をします。そうしないと水晶が壊れてしまうからであり、これはレーザーなどのハイテク機器を使って加工しても同じです。
ところがヘッジス・スカルは、結晶の自然軸に反する形で加工されていることも分かったのです。
解析した技術者の一人は、「そもそも、こんなものが存在するはずはない!」と驚嘆の声を上げたと言います。現在の技術でも作れないものを、どうして古代のマヤ人が作れたのか、大きな謎となりました。
こうなると、クリスタルスカルは正真正銘のオーパーツになりますね。しかし現在では、異なる解析結果も出ていますので、後ほどご紹介します。
次ページでは、ヘッジス・スカルは本当にマヤ遺跡から発見されたのか?について考察してみます。