小人の正体は、伝説のピグミー「マンテ族」か?
問題の動画を見ると、小人と言っても妖精やUMAの類いではなく、上の写真のように背丈の低い部族のように見えます。
撮影された小人の正体は、人間なのでしょうか? 今のところ、以下の3つの説があります。
- ① 伝説のピグミー「マンテ族」説
② ホモ・フローレシエンシス(フローレス原人)の生き残り説
③ 原住民の見間違え説
① 伝説のピグミー「マンテ族」説
小人の正体として、最も有力とされているのが、かつてスマトラ島に存在したと言われるピグミー「マンテ族」です。何だコレ!ミステリーのスタッフが現地で取材した際にも、地元の村民は口を揃えてマンテ族だと言っていました。
マンテ族は、身長1メートルほどの小柄な体をしており、筋肉質で狩りに長けていたといわれる伝説の部族です。映像の小人の体型とも一致しますね。長い槍のようなものも持っており、狩りに使用しているのかもしれません。
17世紀には、二人のマンテ族が捕えられ、オスマントルコ帝国の皇帝に献上された、という記録も残っているそうです。
マンテ族は、映像が撮影されたアチェの森林に住んでいましたが、現在は絶滅したと考えられています。
しかし、撮影された場所も、体の特徴も一致しているので、「小人の正体はマンテ族に間違いない!」という感じでしょうか?
② ホモ・フローレシエンシスの生き残り説
こちらの説は、①の説を一歩進めて、伝説のピグミー「マンテ族」こそ、かつて存在していたホモ・フローレシエンシス(フローレス原人)の生き残りではないか?という見解になります。
ホモ・フローレシエンシスは、2003年にインドネシア南部のフローレス島にあるリアンブア洞窟で、考古学者たちが化石を発見しています。身長約90センチの古代の原人であり、小型のヒト属と広く考えられていっます。
現在は絶滅種とされていますが、いつ頃まで生息していたかは諸説あり、およそ5千~5万年前までは生息していたと考えられています。仮に5万年前であったとしても、現生人類と重複した時代に存在しています。それほど昔ではありません。
一説には、ホモ・フローレシエンシスの絶滅年代が、現生人類がこの地域にやって来た時期と一致していることから、現生人類に絶滅させられたという見解もあります。
▲頭蓋骨から復元したホモ・フローレシエンシスの顔
▲ホモ・サピエンスとホモ・フローレシエンシスの比較
2016年には、頭蓋骨を分析したフランス自然史博物館の科学者らが、「ホモ・フローレシエンシスは、今の私たち人類が属するホモ・サピエンスとは異なる種だ」との発表をしています。
とはいえ、ホモ・フローレシエンシスの起源については、今も専門家の間で議論が続いており、評価は定まっていないというのが現状です。
ちなみに、ホモ・フローレシエンシスは、「ホビット(J・R・R・トールキンの「指輪物語」に登場する小人)」の愛称でも呼ばれています。
ホモ・フローレシエンシスの学術的な分類の問題は置いておくとしても、実際にホビットのような小人種が存在していたことは間違いありませんね。
ホモ・フローレシエンシスの骨?
「何だコレミステリー」の取材班が、現地で撮影した人骨の化石です。
北スマトラ考古学センターによると、2011年に発掘され、約7,500年前の人の骨ではないかということです。身長が90cmであることから、ホモ・フローレシエンシスの骨なのかもしれません。
現地の住民たちは、ホモ・フローレシエンシスの生き残りが、マンテ族だと考えているようです。
③ 原住民の見間違え説
映像が撮影されたアチェの森林には、30万人ものガヨ族を始め、多くの原住民が山岳部や沿岸部に暮らしているそうです。
その中の誰かが、森の中で半裸の生活をしていて、たまたま背の低い原住民であったために小人のように見えただけ、という懐疑的な意見もあります。
ただ、映像の小人は1メートル程度と推測されています。仮に原住民であったと考えてみても、大人であるならば、少し無理がありそうです。
子供であれば有り得ますが、映像を見ると筋肉質の体をしており、子供のようには見えません。原住民の可能性は捨て切れないものの、除外して考えても良いのではないでしょうか?
小人の種族は存在する?
学術的には、UMAの小人とピグミーは分けて考えなければいけませんが、実際に小人のようなピグミー部族は存在しています。
ホモ・フローレシエンシスは絶滅していなかった?
今回の小人は、伝説のピグミー「マンテ族」と考えるのが妥当のようです。しかし、本当にそのような部族がいるのか?と言うと、今ひとつハッキリしませんね。
現地の住民も、マンテ族だと言いながらも、実際に見たという証言者はいませんでした。古い言い伝えを、そのまま信じているかのような感じです。
「何だコレミステリー」の取材班も、マンテ族が現れそうな数カ所にカメラを仕掛けて、マンテ族の撮影を試みましたが成功していません。
しかし、もしも小人の正体がマンテ族であったならば、ホモ・フローレシエンシスは絶滅していなかったという可能性が高まります。今回の動画が世界で注目されている理由も、ここにあります。
そもそもピグミーとは?
Wikiによると、ピグミーとは特に身長の低い(平均1.5メートル未満)特徴を持つ、アフリカの赤道付近の熱帯雨林に住む狩猟採集民とされています。
▲アフリカピグミーとヨーロッパの探検家
東南アジアにも、小さな体をもつ狩猟採集民がおり、今回、有力視されているマンテ族もピグミーとなります。
ピグミーと言っても、住んでいる地域や種族によって、遺伝や進化の違いが完全に解明されているわけではありません。平均的な身長を持つ私たちと、ピグミーの関係についても、まだ研究段階のようです。
要するに人類の起源や、進化の過程はまだ完全に解明されていないのです。
世界各地には、小人や巨人の伝説が数多く残されています。現在では、これらの話は根拠のない神話や伝承かのように考えられています。
科学的な分析も大切ですが、これらの伝説の中にも、人類の起源を解き明かすヒントが隠されているのではないでしょうか?