シーサーペントの写真の真偽
前頁で紹介した驚愕の写真と目撃談は、すぐに欧米の研究家に伝わりました。そこで、フランスの生物学者、ベルナルド・ヒューベルマン(Bernard Heuvelmans)博士が調査を開始しています。
ヒューベルマン博士は、未確認生物学の父と言われています。写真は著書の『In the Wake of the Sea Serpents』より。
では以下、「謎解き超常現象DX」より、そのポイントをご紹介します。
撮影者は信用できない人物?
「シーサーペントの写真は本物か?」という点が最大のポイントなのですが、その前に、撮影者のロベール・セレック氏の問題が浮上しています。
実は、ヒューベルマン博士の調査によって、セレック氏は多額の借金を背負っており、ほとんど信用できない人物であることが判明したのだそうです。
セレック氏は、国際刑事警察機構(インターポール)から、詐欺の疑いで指名手配をされている男だったのです。
UMAの目撃証言は、「誰が証言しているのか?」という人物像によっても、信憑性が大きく左右されます。そうなると、この段階で、ちょっと怪しくなってきましたね。
海の怪物で一儲けするつもりだった?
とはいえ、実際にシーサーペントの写真が残されているので、撮影者の問題は置いても、写真は本物であると期待したいものです。
しかし、ヒューベルマン氏の調査では、セレック氏は、シーサーペントの写真を撮影する5年も前から、「海の怪物で一儲けするつもりだから、一緒にやらないか」と仲間を誘っていたことも判明しているそうです。
セレック氏は、差し押さえられていたヨットに乗ってフランスを出国し、戻ってきた時に逮捕されています。そしてシーサーペントの写真を撮影した一年余り後の1966年2月に、懲役6か月の実刑を言い渡されています。
しかし、シーサーペントの写真が余りにも強烈であったため、フランスの大衆週刊誌などは、「科学者も認めた」という、もっともらしいフレーズと一緒に写真を掲載しました。
その後も、写真だけが一人歩きをしてしまい、世界でもっとも有名なシーサーペントの写真として、現在も知られているのが真相のようです。
写真が偽物である証拠もない
では、このシーサーペントの写真は、やはり偽物だったのでしょうか?
ここがややこしいのですが、実は、完全に偽物であるという証拠もないのです。フェイク写真であったとしても、合成写真ではないらしく、これをどのようにして撮影したのかは今も解明されていません。
「謎解き超常現象DX」には、「絨毯のような薄いぬいぐるみを使い、遠浅の海に広げて撮影したのではないか?」と書かれていますが、これも一つの憶測です。
言うのは簡単ですが、実際にフランスからオーストラリアの海まで出向いて、それをやろうとしたら大変な労力です。本物の巨大生物が泳いでいるかのごとく、海底に絨毯を敷くのも至難の業でしょう。
これが真相ならば、ある意味、「そんな大仕事までして、ご苦労様」という感じです(笑)
セレック氏本人は、この写真をフェイクだと認めていないようですが、現在では、セレック氏が信頼できる人物でないという点からも、伝説のシーサーペントの写真は偽物という見方が主流のようです。
ただし、偽物である証拠もないので、何ともスッキリしませんね。
海の怪物で一儲けするつもりで仲間を誘った、というのも、調査隊を組もう!という気持ちで誘ったのならばOKなわけです。「一儲け=捏造写真で人を騙すこと」とは限りませんね。
信憑性に欠ける点は否めませんが、写真そのものは、「ひょっとすると本物か?」と、今も期待したい気持ちにはなります。
深海魚リュウグウノツカイ
ちなみに、こちらはリュウグウノツカイの写真です。リュウグウノツカイは深海魚ですが、まれに海岸に打ち上げられて、10メートルを超える個体も報告されています。
未確認生物のシーサーペントの正体には、巨大なリュウグウノツカイの見間違え説もありますが、これと同じ大きさのシーサーペントが海に存在していたとしても、不思議ではないでしょう。
人類は、まだ深海のごく一部しか探索できていません。未確認のシーサーペントが捕獲されるのも、時間の問題なのかもしれません。
↓カナダのバンクーバー島沖合で目撃されているUMAキャディも、シーサーペントの一種と思われます。実在の可能性が高い未確認生物として知られています。