地底国には巨人の地底人が住んでいる!『スモーキー・ゴッド』の地球空洞説

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地上と異なる地底世界

ヤンセン父子を襲った嵐は、3時間以上も続きました。しかし、突如として激しい風は柔らいで、次第に収まっていきました。

霧も姿を消し、完全な無風状態となり、目の前には氷のない海峡が20キロほど広がっています。

嵐が収まった海

ヤンセン父子は、この時点ではまだ地底世界に迷い込んだと気付いていませんでした。自分たちは知られざる海域を航海していると考えていました。

しかし、地上の世界では有り得ない「異変」が幾つも起きていたのです。

海水が淡水になっている

飲み水が入っている大事な水樽が嵐でさらわれてしまい、ヤンセン父子が途方に暮れていると、息子のオラフは海水が淡水になっていることに気付きました。

海水が唇に触れた時、塩の味がまったくしなかったのです。しかし、陸地も見えないのに、淡水が海に流れ込んでいるはずがありません。

父のエンスは息子が気でもおかしくなったのかと思いましたが、確かめてみると、本当に真水だったのです(但し、しばらく先に進むと、なぜか普通の海水に戻っていた)。

ヤンセン父子は、残っていた水樽に飲み水を、たっぷりと満たすことができました。父のエンスは、これは北欧神話のオーディン神とトール神の慈悲による施しだと信じることにしました。

コンパスの針の異常

オラフが船のコンパスに目を向けると、北を指す針が、どうしたことかガラスに強く押し付けられています。

針は落ち着きなく方向を変え、酔っ払ったように不安定な動きを繰り返しています。

コンパス

針の異常に驚いているオラフに、父のエンスは、「以前、聞いたことがあるぞ。いわゆる針の下回り現象というやつだ!」と言いました。

コンパスの異常は、北極点にいるために起きていたのでしょうか?

実際には、船は地球内部に通じる穴を抜けており、針の方向が定まらずにいたのです。

地球内部の太陽スモーキー・ゴッド

ぼんやりとした紫がかった空の中、太陽は水平線の上を徐々に高く昇っていきます。

それは丸い形をしているという点を除けば、太陽に似ているとはほとんど言い難いもので、かすんだ赤銅色をしています。

また、背後から強い光が反射しているかのように、明るい雲みたいに白くなったりもします。

これは地上の太陽ではなく、地球内部に輝く小さな太陽「スモーキー・ゴッドだったのです。

地球内部の太陽スモーキー・ゴッド
画像:スモーキー・ゴッド より

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ヤンセン父子が見た地底世界とは?

ヤンセン父子は、どうやら奇妙な世界に入り込んでしまったと思い始めます。そして、いよいよ地底人たちに遭遇します。

ヤンセン父子が見た地底世界とは、どのような世界だったのでしょうか?

地底国の友好的な巨人たち

ヤンセン父子が航海を続けて行くと、ある日突然、遠くから人々の歌声が聞こえて来て、見たこともない大きな船が滑るようにして進んで来ました。

船は近づいて来ると、乗っている船員たちが意味の分からない言葉で話し掛けてきました。やがて船員の大男たちはボートを降ろして、ヤンセン父子を自分たちの大きな船の中に招待してくれました。

後から彼らに教えられたことですが、この船の名前は「ナズ」と言い、それは「喜び」や「楽しい遊覧」という意味でした。

船には5~600人もの人々が乗っていて、身長が12フィート(約3メートル65センチ)を下回る者は一人も乗っていませんでした。

地底国の巨人たちとヤンセン父子
画像:スモーキー・ゴッド より

男たちは刺繍入りのシルクとサテンのゆったりとした胴衣を着て、腰にベルトをしていました。足は金のバックルで彩られたサンダルを履いています。

彼らは見上げるほどの巨人でしたが、顔立ちは穏やかで美しく、友好的な人々でした。

言葉は通じませんでしたが、彼らは互いに競うようにして思いやりに満ちた行動をヤンセン父子に施してくれました。

ヤンセン父子は、ようやく目指していた伝説の地に辿り着いたことを知ります。地球内部に住む地底人たちは、とても親切な巨人族だったのです。

電気的なパワーを使用

ヤンセン父子が地底国に行ったのは1828年のことです。この時代には、まだ人類は電気を発明していません。

しかし、地底人の船は蒸気ではない力で船を稼働させたり、美しいライトを点滅させたりして、電気的なパワーを使用しているようでした。

陸路の交通機関には、今で言うリニアモーターカーのような乗り物もありました。それは音もなく、完全なバランスを保って、一本のレールの上を猛スピードで走行します。

このような乗り物は、ヤンセン父子が地底国に行った時代はもちろん、『スモーキー・ゴッド』が出版された時代にもありません。

また、地球内部の気候は非常に快適であったらしく、オラフが当時を振り返って書いた手記には「電気的に過充電された空気の状態」と表現されています。

これは現代的に言うと、マイナスイオンに満ちた空気という意味に近いのかもしれません。

ヤンセン父子は一生のうちで、地球内部で過ごした二年間ほど体調が良かったことはないそうです(正確に言うとヤンセン父子は地底国で二年半も過ごしている)。

地球内部の気候は非常に快適であった

地底国には金が豊富

地底国では、最も一般的な金属として、金が使用されていたとのことです。

金はサンダルの装飾にも使われていましたが、建物のドアの枠には宝石がちりばめられ、テーブルは金のシートで化粧張りされていました。

公共の建物の丸屋根も金で出来ており、地上の世界では考えられないほど、多くの金がいたるところに使用されていました。

地底国の建物には金が豊富に使用されている

巨大化している地底の生態系

巨人が住む地底世界は、果物も巨大でした。ブドウの房は長さが1.2~1.5メートルほどもあり、粒の大きさは、地上世界のオレンジほどもあります。

リンゴは普通の人間の頭よりも大きく、あらゆる種類の果物は美味しい風味を備えていました。

地球内部の植物はよく繁茂しており、地底世界の巨大な森の木々に比べると、カリフォルニアのアメリカスギもただの藪に過ぎないほどでした。

例えば、地底世界で「ゴリアテの森」と呼ばれる森は、高さ240~300メートル、直径30~36メートルもある無数の巨木で形成されています。

地底世界に棲んでいる生き物も、やはり巨大です。ある砂浜には何千匹ものカメがいて、体長は7~9メートル、幅は4.5~6メートルもありました。

ヤンセン父子は500頭ものゾウの集団にも遭遇し、ゾウたちの体長は30メートルを超え、高さは23~26メートルもありました。

地球内部の地底世界は生態系に好ましい条件が揃っていて、あらゆる種類の植物や生き物が巨大化していたのです。

地底世界で体長30メートルを超えるゾウの群れに遭遇
画像:スモーキー・ゴッド より

地底人は600~800歳の長寿

『スモーキー・ゴッド』には、地底国に住む人々の暮らしについても興味深い記述があります。

子供たちは二十歳になるまで教育施設に通わなくてもよく、学校生活は30年間続いて、そのうちの10年間は男女ともに音楽の教育に当てられます。

男性は75歳から100歳にならないと結婚せず、女性たちが結婚する時期も、それよりは少し早い程度でした。

地底国の住民たちの主な職業は、建築、農業、園芸、家畜の飼育、交通機関の仕事です。農業では、丘の中腹はブドウ園になっており、谷のほうは穀類が育てられていました。

地底人は男女ともに600~800歳の長寿であり、それ以上の年齢を生きる人もいるようです。

地底国の最高指導者と会う

地底国には、大陸の全てを統治している最高指導者も存在しています。ヤンセン父子は、この統治者に一度だけ謁見しています。

統治者は高い山の高原にある「エデン」の都にいました。そこは住民たちからは「地球の中心」、あるいは「人類のゆりかご」と呼ばれていました。

地底国のエデンの都のイメージ

この地には大陸を流れる巨大な4つの川、ユーフラテス、ピション、ギボン、ヒデケルの川の源となる巨大な泉があったのです。

ヤンセン父子は、宝石が埋め込まれた黄金の壁で仕上げられた巨大な部屋に招かれました。

統治者は豪華に着飾り、まわりにいる家臣たちの中でも飛び抜けて背が高く、少なくと4.2~4.5メートルはありました。

地底国の最高指導者と謁見するヤンセン父子
画像:スモーキー・ゴッド より

統治者は好奇心が強く、ヤンセン父子に様々な質問を浴びせました。

また、もし地上世界に戻りたいなら、地球の北と南の開口部を取り囲んでいる氷結地帯のバリアーを超えて、無事に帰れるように準備をすると約束もしてくれました。

次ページでは、『スモーキー・ゴッド』に書かれている内容を改めて考察してみます。

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