マイナスイオン効果は嘘? エセ科学と言われている理由

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マイナスイオン効果は嘘? 本当?

あなたの家にも、マイナスイオン効果を謳った家電製品の一つや二つは、あるのではないでしょうか?

マイナスイオンは2002年の流行語になり、当時は家電店に行くと、ドライヤー、空気清浄機、エアコンを始め、マイナスイオン商品で溢れかえっていました。

大人気となった理由は、「マイナスイオンは疲労回復や精神安定を始め、様々な健康増進効果をもたらす」と言われていたからです。

しかし実は、マイナスイオンの効果は、科学的な根拠が薄いと聞いたら、「えっ、嘘でしょ?」と驚かれる人も多いと思います。

ネットを検索すると、マイナスイオンの効果について紹介するサイトがある一方で、マイナスイオンは嘘、存在しない、エセ科学という言葉も目立ちます。

派生商品として、プラズマクラスターイオンなどの製品もありますが、果たして、マイナスイオンの効果は、都市伝説のように根拠のない嘘なのでしょうか?

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マイナスイオン効果は嘘だった?

現在は、かつてのようなマイナスイオンのブームは沈静化しているとはいえ、「うちにもマイナスイオン機能が付いた家電があるよ」という人は多いと思います。

実は最近、我が家で購入したドライヤーにも、それで買ったわけではないのですが、マイナスイオンの表示が付いていました。今もマイナスイオン家電は、普通に販売されているのです。

Amazonで検索すれば、いくらでも出て来ます。

Amazonで検索したマイナスイオン家電

マイナスイオン家電のAmazon検索結果

家電&カメラのカテゴリーで「マイナスイオン」を検索するだけでも、2,000個以上の商品がヒットします。「まだ、こんなにあるんだ!」と驚きますが、今もマイナスイオンの需要はあるということでしょう。

では、そのマイナスイオンの効果の仕組みを、きちんと理解していると言う人は、どれだけいるでしょうか?

実際に購入した人であっても、「マイナスイオンが発生すると健康に良い」といった漠然としたイメージしか持っていないように思います。

科学用語に「マイナスイオン」は存在しない

実は、マイナスイオンという言葉は、和製英語の造語なので海外では通じません。正式な英語は、「ネガティブ・エアーイオン(negative air ion:負の空気イオン)」です。

でも、“ネガティブ”では、与える印象が悪いですね? そこで、家電メーカーが商品化するに当たり、「マイナスイオン」というネーミングにしたのだそうです。

科学の世界には「マイナスイオン」という用語は存在しない。科学の世界の広辞苑ともいえる『理化学事典(岩波書店)』や『化学大事典(東京化学同人)』にも、マイナスイオンの項目はない。

アカデミックな出版物では、正統なものとして扱われていない造語なのである。

謎解き超科学 ASIOS』より

要するに、家電メーカーは「マイナスイオン」と呼びますが、実際の科学の世界には、「マイナスイオン」という用語は存在しないのです。

とはいえ、消費者としては、難しい話は分からなくても、実際にマイナスイオンに健康効果があれば、それでいいわけです。

日本の大手家電メーカーが、競い合うようにしてマイナスイオンの家電を開発したのだから、「そりゃ、効果はあるでしょ!」と思うのが普通ですね?

マイナスイオン効果と、レナード効果

公園の噴水の写真

滝や噴水の近くにいると癒されるのは、そこに発生しているマイナスイオンの効果であると、聞いたことがありませんか?

滝などのように水が急激に微粒化されると、大きな水粒は正の電気に、細かな水粒は負の電気に帯電し、周囲の空気をも負の電気に帯電させるというものです。

これは「レナード効果」と呼ばれており、1892年にドイツの物理学者フリップ・レーナルド(下写真)が発表しています。このように、海外では、昔から「負の空気イオン」の研究はされていたのは事実です。

フリップ・レーナルド

しかし、「マイナスイオン効果は本当だったんだ!」と言うのは、早合点です。

レナード効果は、なぜそのようなことが起きるのか、今も詳細が解明されていません。また、研究者のレーナルド自身は、人体への健康効果については触れていません。

そうであるにも拘わらず、後に登場するマイナスイオン家電が、このレナード効果を持ちだして、人体に与える健康効果を誇大に訴求するという問題が出てきたのです。

中には、マイナスイオンを発生させる機器を、医療機器として販売する業者も出てきました。

マイナスイオンの効果とは?

そもそもマイナスイオンの効果には、どのようなことが謳われている(謳われていた)のでしょうか?

    【マイナスイオンの効果】

  • 気分が爽快になり、ストレスが軽減される
  • リラックス効果があるので、よく眠れるようになる
  • 血流が良くなって疲れが取れる
  • 頭痛や肩凝りに効くこともある

リラックスする女性の写真

沈静作用、鎮痛作用、食欲亢進、血圧降下、脈拍減少、呼吸鎮静、毛細血管拡張、血糖減少、利尿促進、疲労防止など、まさに万能のマイナスイオン効果が謳われています(『謎解き超科学 ASIOS』より)。

「気分が爽快になり、ストレスが軽減される」というマイナスイオンの効果については、前述した「滝や噴水のイメージ」が思い浮かぶので、さほど抵抗なく受け入れられる人はいると思います。

ただ、「頭痛や肩凝りに効くこともある」となると、マイナスイオンにそこまでの効果があるのか?と、ちょっと疑わしい気持になってきますね。

マイナスイオンの火付け役となったテレビ番組

マイナスイオンの家電ブームの火付け役となったのは、テレビ番組の「発掘! あるある大事典」と言われています。

2000年の放送で、「静電気がたまる体質の人は血液ドロドロで不健康なので、マイナスイオンで中和しなければならない」と紹介されています。

血液ドロドロがマイナスイオンで中和できるなら、これは画期的です! 視聴者の反応は非常に大きく、マイナスイオンは一大ブームとなり、これに家電メーカーも乗ったわけです。

しかし、「発掘! あるある大事典」は、後に捏造事件が発覚して番組が打ち切りになっています。

発掘! あるある大事典 ねつ造事件

ちなみに、静電気と血液の粘度には因果関係がありません。番組で紹介されたマイナスイオンの内容も、かなり疑わしいものであったと思われます。

発掘! あるある大事典(1996年~2007年)

フジテレビ系列で放送されていたテレビ番組。関西テレビ製作。様々な健康情報を紹介するという体裁だったが、実際は効果が未知数なものが多く、有効性を謳ったデータにも恣意的なねつ造があった。

なかでも納豆ダイエットでのねつ造は社会問題となり、番組は打ち切り。関西テレビは日本民放連名から除名された(後に復帰)。

謎解き超科学 ASIOS』マイナスイオンの真っ赤な嘘 より

マイナスイオン・バブルが弾ける!

マイナスイオンの健康効果については、人知れず囁かれている程度なら良かったのでしょうが、家電メーカーが健康効果を謳っていたために、科学的な根拠がないという批判が高まってきました。

そして2003年に景品表示法が改正されると、大手家電メーカーは商品パンフレットからマイナスイオンの効果・効能の記述を削除します。これを機に販売が中止されたマイナスイオン家電も、数多くありました。

また同年、国民生活センターは、「マイナスイオンを冠した商品すべてに科学的に健康効果が実証されているわけではない」と報告しています。

さらに2006年11月には、東京都が科学的根拠が薄弱なマイナスイオン商品に対して、複数の業者に資料の提出要求および景品表示法を守るように指導を行っています。

ブームとなったマイナスイオン関連商品は、社会的な混乱が表面化し、ついにマイナスイオン・バブルが弾ける結果になっています。

しかし、冒頭で紹介したように、マイナスイオン家電は、今も普通に販売されているわけです。実際に問題があるならば、販売中止になっているはずです。

本当にマイナスイオンには何の健康効果もなく、真っ赤な嘘なのでしょうか? 次ページでは、マイナスイオンがエセ科学と言われている理由について考察してみます。

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