ガラスの涙を流す少女の真相
「ガラスの涙を流す少女」の存在が世界に知られると、ある人物がこの奇怪な現象に興味を抱きました。
その人物とは、スルタン・ビン・アブドルアジーズ氏(サウジアラビア皇太子兼第一副首相兼国防航空相)です。
ハスナが住む町の医師たちが調べても分からないのならばと、なんとスルタン氏は私財を投じて専門の調査団を結成し、「ガラスの涙を流す少女」の真相解明に乗り出したのです。
さすが中東の大富豪はやることが違いますね! 以下、『謎解き超常現象II』を参考にしてご紹介します。
調査団により真相が解明される!
スルタン氏が結成した調査団は、王族の豊富な資金を使って集められたトップレベルの医師たちです。
「ガラスの涙を流す少女」の謎は、当初は原因不明とされていましたが、ついに彼らの調査によって真相が明らかにされました。
原因は、「ハスナの精神的不安定が高じたことによるイタズラ」とのことです。
「え~っ!」という驚きの声が聞こえそうですが、両親がヤラセを強要していたわけではありませんでした。ハスナ本人が自分で自分の目にガラスを入れて、それを取り出して見せていたのです。
「なぜそんな危険な行為を?」と不思議に思いますよね?
12歳の多感な年頃の少女の気持は分かりませんが、最初はちょっとしたイタズラのつもりが、世間に注目されてエスカレートしてしまったようです。
再現された「ガラスの涙」
とはいえ、「目の中にガラスを入れて、取り出すことなんて出来るのか?」という、当然の疑問が出て来ると思います。
答を言えば、「出来る」のだそうです。
『謎解き超常現象 II』によると、アメリカで超常現象の調査を行っているジョー・ニッケル氏も、「ガラスの涙を流す少女」の謎を独自に調査していました。
ニッケル氏は、ガラスの破片をまぶたの中に入れて、ハスナと同様にそれを取り出す行為を自ら再現しています。
その様子を取材に来ていたテレビのレポーターは、ハスナの「神が与えた奇跡」と見分けが付かなかったそうです。
ガラスを入れておく場所としては、「結膜嚢(けつまくのう)」と呼ばれる、まぶたの裏にある袋状のスペースと考えられています。
しかし、「ガラスをまぶたの裏に入れて取り出す」という行為が、たとえ可能であったとしても、これは危険な行為です。
失明する恐れがあるので絶対に真似してはいけません。
ハスナが使用していたガラスの正体
ちなみに、荒俣宏氏が責任編集を務めた『ボーダーランド(1997年1月号)』では、ハスナが目から流したというガラスを直接入手して調査しています。
その「ガラスの涙」を分析した結果は、当時によく言われていたようなクリスタル(水晶)でもなければ、宝石や高級ガラスでもありませんでした。
成分にカルシウムを多く含んでいたことから、飲料水のボトルで使われるような、誰でも入手できる安価なガラスでした。
ハスナは後にイタズラであったことを認めているそうです。彼女は専門医の治療を受け、不安定だった精神も安定し、その後は目にガラスを入れる行為は止めたそうです。
「ガラスの涙」は世界を巻き込む騒動になりましたが、当時12才だったハスナも、現在は35歳になります。その後の報道はありませんが、幸せな家庭を築いてほしいですね。
続いて次ページの動画もご覧ください。別の少女になりますが、イエメンの「石の涙を流す少女」です。今度は目から石が出ています。