考古学者たちを悩ませたパラカスの長頭頭蓋骨の謎
パラカスの長頭頭蓋骨は1928年、ペルー南岸部ピスコ近郊に広がる砂漠地帯パラカスで、考古学者フリオ・テーヨ(1880~1947年)によって発見されています。
この頭蓋骨の大きな特徴は、人間のものとは思えないような縦に長く引き延ばされた長頭頭蓋骨であることです。
3,000年ほど前の人間のものと推測されていますが、このような長頭頭蓋骨が300以上も出土したというのですから、当時の考古学者たちの頭を悩ませることになりました。
単に長い頭蓋骨の発見であるならば、古代より頭蓋変形の風習があるので決して珍しくはありません。
しかし、パラカスの頭蓋骨には、人為的に変形させたとは思えない骨格の特徴や構造が見られたのです。それは古代に来訪していた宇宙人たちの存在を、否応にも想像させるものでした。
発見された当時には謎を解明することができず、その後は長らく放置されてしまったのですが、発見から86年もの歳月を経て、ようやくDNA解析が行われることになりました。
パラカスの頭蓋骨のDNA解析の結果
パラカスの頭蓋骨は、現在までに2回のDNA解析が行われており、2014年4月と2016年8月にそれぞれの結果が発表されています。
実は1回目と2回目のDNA解析では、異なる結果が発表されています。これは解析に用いられたサンプルの状態や部位の違いによって、異なる結果が出たのかもしれません。
しかし、どちららにしても人類史の常識を覆す結果になります。
1回目のDNA解析の結果
- 現生人類や霊長類はもちろん、ネアンデルタール人やデニソワ人をはじめとする人類の祖先たちとも大きく異なる遺伝子を持っていると発表される。
- 異常な背の高さや赤茶色の髪の毛は、この地方の古代人には見られない特徴がある。いったい、どこからやって来たのか?
- 頭蓋骨の体積は、通常の頭蓋骨より25%大きく、約60%も重い。単に頭蓋骨の形状の違いだけでは片づけられない謎が残される。
2回目のDNA解析の結果
- パラカスの頭蓋骨のルーツは、現在のヨーロッパや中東にルーツがある可能性が高い。
- この意味は、コロンブスに先駆けて、今から3,000年以上も遙か昔に、すでにヨーロッパや中東からアメリカ大陸へと移り住んだ人々がいた証拠になる可能性がある。
- これはこれで、今までの歴史を塗り替える大発見となる。
DNA解析を経ても、パラカスの頭蓋骨の謎は残される
1回目の頭蓋骨のDNA解析では、遙か太古の過去も含めて、人類や霊長類と異なる遺伝子を持つという結果から、信じようと信じまいと宇宙人説の可能性がありました。
ところが2回目のDNA解析では、現在のヨーロッパや中東にルーツがある可能性が発表されています。
2回目の結果が事実ならば、パラカスの頭蓋骨に、この地方の古代人には見られない特徴(異常な背の高さや赤茶色の髪の毛)があっても、不思議ではないことになります。
しかし、これで全ての謎が解明されたわけではありません。DNA解析を経ても、「頭蓋骨の体積が通常の頭蓋骨より25%大きく、約60%も重いのは何故か?」という、大きな謎は不明のままなのです。
世界各地に残されている古代の風習として、縛った木片で頭部を挟むなど、かなり無茶な方法で頭蓋骨を変形させている「頭蓋変形」の事例は多く見られます。
それでもこのような人為的な変形によって、頭蓋骨が大きくなることはありません。頭蓋骨の形が変わるだけで、大きさも体積も増えないのです。
つまり、パラカスの頭蓋骨は、生まれつき長頭頭蓋骨を持っていたということになります。果たして、このような頭蓋骨を持っている人類や霊長類が、太古の時代も含めて存在しているでしょうか?
骨格の構造が、人類とは異なっている謎
TOCANA の記事によると、考古学研究家で作家のL. A. マズーリ氏は、ペルーメディアの取材に次のように答えています。
人為的な頭蓋変形だった可能性は残りますが、私はそうは思いません。
なぜなら、(体積や重量の問題だけではなく)『パラカスの頭蓋骨』の場合は大後頭孔(頭蓋骨と脊柱をつなぐ部分)が、とても後ろの方に位置しているのです。
普通は、もっとあごに近い位置にあるはずなのです。
頭蓋骨の形や大きさだけでなく、そもそもの骨格の構造が、人類と異なっているということです。
また、通常は左右に1対ずつあって結合しているはずの頭頂骨(頭頂から後頭部までを形成する骨)が、パラカスの頭蓋骨の場合、大きなひとつの骨になっているという謎も、発見された当時から、考古学者たちを悩ませていました。
この頭蓋骨の構造の謎も、まだ未解決のまま残されているのではないでしょうか?
古代人は、宇宙人を神々のごとく崇めていた
頭蓋変形の風習は世界各地に見られますが、そもそも、なぜ古代人たちは、頭部を縦に長く変形させるよう行為をしたのでしょうか?
単なる思い付きで、こんな危険な真似をするはずがありません。それだけのことをする大きな理由があったはずです。
例えば、古代の人々が、UFOに乗って地上に降りた宇宙人を見たならば、それは神のごとき存在に見えたでしょう。その宇宙人たちが、長頭頭蓋骨を持つエイリアン種族であったならば、どうでしょうか?
古代の人々が、宇宙人たちを神々として崇めた可能性は十分に考えられます。
そして自分たちも神近き存在になりたい!と強く願い、宇宙人たちのように頭部を変形させる方法を人為的に編み出し、それが風習となって残されたのではないでしょうか?
そう考えると、なぜ頭蓋骨を縦に長く変形させる奇妙な風習が生まれたのか、その説明も付くのです。
前述したように、パラカスの頭蓋骨のDNA解析の結果は、1回目と2回目では異なっています。この点を考えると、2回目の解析で発表された「ヨーロッパや中東にルーツがある」という可能性も、まだ確定したとは言えないでしょう。
パラカスの頭蓋骨のサンプルはあと1つ、アメリカの専門調査機関にも提出されているそうです。
三度目の正直と言いますが、今度はどのようなDNA解析の結果が出るのか、続報に期待したいと思います。