NASAが2017年2月22日(日本時間の23日未明)に、「太陽系外惑星についての新たな発見」についての重大な記者会見を行いました。
今回は、権威ある科学誌Natureにも発表する研究成果ということで、発表前からの期待度も大きく、「いったい何が発表されるのか?」と報道も盛り上がっていました。
「地球外生命」の存在に関連する内容ではないか?との予想が多く見られましたが、その見方は正しかったようです。
NASAの発表ですから、当然のことながら、宇宙人は存在する!とズバリ指摘する内容ではありません。しかし、広く多くの人々に、宇宙のロマンを感じさせる内容だったのではないでしょうか?
発表された内容を簡単に言うと、太陽系外にある3つの惑星の地表に、液体の水がある可能性があり、それらの星には生命が棲息している可能性が指摘されたのです。
「えっ、具体的にどこまで分かったの?」と知りたくなりますよね? 以下、NASAの発表の詳細について、なるべく分かりやすいようにお伝えします。
NASAの重大発表! 「トラピスト1」の3つの惑星に、生命が棲息する可能性がある!
NASAの重大発表は、あくまでも「可能性の指摘」ですから、宇宙人の存在を大前提としている未来科学思考の人々(つまりオカルトファン)には、今さら感があるかもしれません。
しかし、アメリカの政府機関であるNASAが、地球外の知的生命体の可能性について、具体的に触れたことは重大です。もっと裏読みをすれば、宇宙人の情報開示に向けた布石かもしれないのです。
では今回、NASAが発表した「生命が棲息している可能性がある惑星」とは、どのような惑星なのでしょうか?
地球に似た7つの系外惑星を発見!
私たちの太陽系から、水瓶座の方向へ約39光年離れた位置に、「トラピスト1(TRAPPIST-1)」という赤色矮星があります。
矮星(わいせい)とは、恒星(太陽系で言えば、私たちの太陽)に準じる天体であり、平たく言えば「恒星よりも小さくて暗い太陽」です。トラピスト1の大きさと質量は、私たちの太陽の10分の1程度で、明るさは太陽の1,000分の1以下とされています。
このトラピスト1に、7つの地球サイズの系外惑星(太陽系よりも外にある惑星)があることが発表されました。トラピスト1の小太陽を中心にして、7つの地球に似た大きさの惑星が回っているのです。
7つの惑星は、いずれも地球型の岩石惑星です。太陽系で言えば、水星・金星・地球・火星がそうです。ちなみに、月なども性質的には岩石惑星ですが、地球を回っている衛星なので、これには含まれません。
トラピスト1は、小さくて暗い太陽と言っても、太陽と惑星の距離が近ければ、生命活動が必要とするに十分な太陽エネルギーが、惑星に注がれます。
実際に、トラピスト1を公転する7つの惑星は、私たちの太陽と水星の距離よりも、狭い範囲を回っているそうです。
「第二の地球」の発見になるのか?
今回のNASAの重大発表では、トラピスト1を回る7つの惑星のうち、少なくとも3つの惑星に液体の水が存在し、生命が棲息できる可能性が示されました。
その惑星は、上記写真の「e・f・g」になります。3つもあるというのは驚きですね!
報道では、ハビタブル(生命棲息可能)という専門用語が頻繁に出てきます。その意味するところは、氷の塊ではなく、「液体の水が、地表に流れている」という点です。
私たちの地球のように、海や川、湖があるということが最大のポイントでしょう。そのような惑星には、生命誕生の機会が与えられているからです。
地球から約39光年の場所に、知的生命体が存在するかもしれない惑星が3つも確認できたのですから、「NASAの重大発表」というのも頷けます。
私たちが長年探し続けた「第二の地球」への期待が、否応にも高まりますね!
地球と、トラピスト1の惑星の違いは?
「第二の地球」と言っても、もちろん、そっくり地球と同じなわけではありません。もしもトラピスト1の惑星に地球人が移住したとしたら、かなり戸惑う環境にあることも事実のようです。
以下、地球との違いについて取り上げてみます。
トラピスト1の惑星は、1年間が極端に短い
トラピスト1の惑星は、太陽との距離が近いため、もっとも近い惑星の「1年」は、地球の1日より少し長いくらいです。もっとも遠い惑星でも、1年は20日間しかありません。これでは四季の変化も楽しめませんね。
1年365日という地球から見ると、1年間が極端に短いのです。トラピスト1の惑星に住んだら、あっという間に歳を取ってしまいそうですね(笑)
昼と夜の領域に分かれている
トラピスト1の7つの全ての惑星は、自転と公転周期が一致しています。このため、いつも同じ面を太陽に向けています。これは、月が地球に同じ面を向けているのと同じです(だから月の裏側は、地球からは見えない)。
これが何を意味しているのかと言うと、もしも知的生命体が住んでいたら、「いつも昼間の国」と「いつも夜の国」があるということです。その中間の「いつも夕暮れ時や、夜明けのような国」というのもあるでしょう。
地球人が住んだら、朝~昼~夜という一日の流れがないので、時間感覚がマヒしてしまいそうですね。
太陽光は赤やオレンジ色
前述したように、トラピスト1は赤色矮星の太陽なので、お日様の光は赤やオレンジ色なのだそうです。
昼間であっても、カリフォルニアの青い空のような光景は見えません。植物の緑も、赤や黒っぽい色に見えます。ピクニックをしても、これでは楽しめそうにありませんね。
こちらはNASAが公開している動画です。トラピスト1を周回する「惑星d」から見た風景のイメージです。空に浮かぶ三日月のような月は、他の周回惑星です。
360度ムービーなので、ぐりぐりと回して、トラピスト1の赤い世界をお楽しみください!