ツチノコが実在する可能性は?
『ツチノコ 幻の珍獣とされた日本固有の鎖蛇の記録』の書籍について紹介してきましたが、実は現在、著書の所在は不明になっているようです。
前述した「奇跡体験アンビリバボー」でも、番組スタッフが著者への接触を試みましたが、結局は連絡が取れなかったとのことです(その経緯は不明)。
そこでムー 2018年4月号では、爬虫類研究者の加藤英明氏に、問題の書籍の検証を依頼し、ツチノコが実在する可能性を改めて考察しています。
以下に、その見解を簡単にまとめてみます。
ツチノコのような体型で、土を掘れるのか?
まず、加藤英明氏はツチノコの体型についての疑問点を挙げています。
観察記録によると、ツチノコは一日中、土中に潜って生活をしています。しかし、ツチノコのように手足のない偏平の体型では、土を掘ることが難しいのではないか?ということです。
但し、全く掘れないわけではなく、「地中に潜る時には体を円筒形にしたり、頭部を激しく降って土を掘っているのかもしれない」とも述べています。
実際に、観察記録ではツチノコが何度も掘り返されていますが、その後は、自分で土に潜っているわけです。
ツチノコが棲む山林は、落ち葉や枯れ木が堆積した軟らかい土になっています。そのような土ならば、四肢のない偏平の体型であっても簡単に潜れるでしょうし、餌となる虫やミミズなども豊富です。
モグラのように長いトンネルは掘れなくても、問題はないように思えますね。
ツチノコはジャンプできない?
佐之助氏のツチノコの観察記録には、「威嚇した際に、60センチほど跳躍したこともあった」とあります。
しかし加藤氏は、ツチノコの体型を見る限り、物理学的に60センチもジャンプすることは物理学的に無理だと述べています。
これについては、書籍に掲載されている体型のスケッチが不正確なのか、60センチほど跳躍したという表現が大袈裟なのか、何とも言えないところです。
書籍にはツチノコの骨格標本(上写真:月刊ムー4月号より)も掲載されていますが、あまりにも綺麗過ぎるので、竹などで作られているのではないか?との疑問も指摘しています。
この点も、原本や残存している元の写真で確認してみたいところですね。
ツチノコは突然変異か?
他にも、月刊ムー4月号には様々な疑問点が書かれていますが、その一方で、すべてがフィクションとは思えない部分もあると書かれています。
では、実際にツチノコが実在する可能性はあるのでしょうか?
爬虫類研究者の加藤英明氏は、日本ではツチノコのような新種の発見は期待できなくても、突然変異の生物が見つかる可能性はあると述べています。
例えば、マムシの突然変異です。これは「奇跡体験アンビリバボー」と同じ見解になりますね。
突然変異した個体に生殖能力があって、増えていったのならば、その地域だけに見られる生物となる可能性はあるとのことです。
ただ、これはツチノコに限らず、「UMA=突然変異」の可能性は今までにも言われていることなので、特に目新しい見解ではありません。
ツチノコは日本全国で目撃されているので、その地域だけに見られる突然変異の生物ではないのです。
ツチノコの骨格標本は空襲で焼失
1942年8月21日に長野県で発見されたというツチノコは、大日本理化学研究舎の研究員・木之倉佐之助氏に飼育され、翌年の9月17日に土を掘り返したとき、死亡が確認されています。
1970年代に巻き起こったツチノコブームの時であったならば大ニュースになり、もっと詳細に研究されたのでしょうが、残念ながらブームが起きる30年ほど前の出来事でした。
死亡したツチノコは、骨格標本にされました。しかし1944年2月に大日本理化学研究舎が閉鎖されたため、佐之助氏は東京の知人に骨格標本を一旦、預けています。
ところが同年11月の東京大空襲によって焼失してしまったらしく、現在は実物を見ることができません。
焼失は非常に残念ではありますが、ツチノコの飼育をしたのが化学研究者であったことは幸いでしたね。そのおかげで観察記録が遺されているのです。
あとは書籍の著者(佐之助氏の孫)と連絡が取れれば、ツチノコの観察記録の原本も見られて、さらなる驚きの事実も分かるかもしれません。
月刊ムーの編集者の方々には、今後も調査を継続してほしいですね。
ツチノコを捕獲するなら土を掘れ!
ツチノコは1970年代に一大ブームとなりましたが、日本人のツチノコへの情熱は今も冷めていません。
新潟県糸魚川市は、「ツチノコの捕獲に1億円の懸賞金を出す!」という日本の自治体らしからぬ面白企画で有名となりましたが、現在でもツチノコの探検隊を募集し、毎年ツチノコ探しが催されています。
ツチノコの飼育記録には、ツチノコは一日中、土中に潜んでいると書かれています。そうであるならば、土中を探さなければ、ツチノコは発見しにくいのだと思います。
しかし、テレビで放送されているツチノコの捕獲作戦などでは、草むらを丹念に掻き分けて探したり、いそうな場所に餌を仕掛けて捕獲を試みたりしています。
だから未だにツチノコを捕獲できないのではないでしょうか? たまに地表に出て来ることもあるのでしょうが、土中に棲んでいる生き物は、やはり土を掘り返して探したほうが早いのです。
「ツチノコを捕獲するなら土を掘れ!」ということになりそうですね。