巨人族の神話・伝説は、世界中に広く語り継がれています。これらの巨人族を、架空の存在として片付けるには、あまりにも数の多いことに驚かされます。
また、嘘か本当か、「巨人族の骨が発見された!」というニュースが、現在もよく飛び込んできます。
私たち人類は、巨人族と共存していた時代が、本当にあったのでしょうか? また、巨人族とはどのような存在として、語り継がれてきたのでしょうか?
古くはシュメール神話から、ギリシャ神話の巨神人族、旧約聖書に登場する巨人族ネフィリム、南米の巨人伝説、そして日本の巨人伝説もご紹介します。
神話や伝説の中にこそ、巨人族の真実が隠されているのかもしれません。
シュメール神話の巨人族
現在確認できる巨人族の神話は、もっとも古いもので、紀元前4000年ごろのシュメール文明まで遡れます。
シュメール文明は、メソポタミア(現在のイラク・クウェートの南部)に勃興した、世界最古の都市文明(初期のメソポタミア文明)とされています。
アヌンナキの神々は巨人族?
シュメールの神話には、アヌンナキの神々が登場します。遺物のレリーフに残されているアヌンナキの神々は、巨人としか思えない姿で描かれています。
もちろん、神々ですから、もともと人間ではありません。しかし、彼らが巨人族であり、屈強な肉体を持っていたことから、偉大な神々として崇められるようになったとも考えられます。
不思議なことに、シュメール人はどこからやって来た民族なのか、現在も不明とされています。突如として、高度な文明を築き上げたのです。シュメール人は、文明を後継したアッカド人やアッシリア人、バビロニア人とも異なります。
シュメール神話の最高神アヌは、天空神です。アヌンナキの神々のルーツは天空、すなわち宇宙からの来訪者と考える研究者もいます。
半神半人の巨人英雄ギルガメシュ
実は、アヌンナキの神々が支配していた地上世界は一旦、大洪水によって一掃されています。これは旧約聖書のノアの大洪水に相当します。
その大洪水後に、半神半人の巨人英雄ギルガメシュ王(紀元前2600年頃?)が君臨します。ギルガメシュ王の像を見ても、やはり巨人にしか見えません。ライオンを子猫のように抱いています。
ギリシャ神話の巨人族
シュメール神話の次は、ギリシャ神話の巨人族を紹介します。ギリシャ神話と言えば、全知全能の神ゼウスを始め、アポロンやアテナなど、神々の名前は誰でも知っていると思います。
しかし、意外に思うかもしれませんが、ギリシャ神話は巨人神族との戦いの歴史にもなっているのです。
ティタノマキア(巨神大戦)
一回目の戦いであるティタノマキア(巨神大戦)では、大地神クロノスが率いる巨神族タイタンと、ゼウスが率いるオリンポス神族が戦っています。
下の絵は、ゼウス軍に打ち負かされるタイタン族が描かれています。不死身であった巨神族タイタンはタルタロス(奈落)の深淵へと封印され、オリンポス神族の支配が始まります。
打ち負かされるティーターン:コルネリス・ファン・ハールレム
ギガントマキアー(巨人大戦)
二回目の戦いであるギガントマキアー(巨人大戦)では、ゼウスのオリンポス神族に、巨人族ギガンテスが反乱を起こしています。
この戦いでは、半神半人の最強の英雄ヘラクレスがオリンポス神族の味方として参戦し、ゼウスの圧勝となります。
ギガントマキア:ジュリオ・ロマーノ
全宇宙を揺るがした大戦争
いずれの戦いも、ゼウスが勝利しています。しかし、ゼウスは大地神クロノスの息子ですから、ゼウスにも巨人神族の血が流れているわけです。
要するに、ギリシャシ神話における神々の戦いは、巨人神族同士の戦いなのです。
また、この二つの大戦の舞台は、宇宙にまで広がっています。巨人神族同士の戦いは、全宇宙を揺るがした大戦争として描かれているのです。
ギリシャ神話の宇宙観と、現代の宇宙観ではもちろん異なりますが、「ギリシャ神話の巨人神族には、宇宙から飛来した存在が含まれているのではないか?」という、素朴な疑問も出て来ますね。
次ページでは、旧約聖書に登場する巨人族をご紹介します。